3月のカルテ3

「ぶっ殺す!!」

 

「ひびちゃん?お薬飲みましょう」

 

「っざけんな!!

殺される前に殺す!!!」

 

「ううん。誰も殺さない。私たちが守る」

 

「うっせぇ!!!!」

 

「仲里さんっ…!」ハァハァ

 

増田さんがナースステーションから

走って来てくれた。

 

「殺せ…殺せ…」

 

ヒューヒューという音を出して息をしてる。

 

「お薬飲みましょう?手を出して?」

 

この時私は倒れて増田さんに抱きかかえられたらしい。(解離してたので記憶が無い)

 

 

 

「もう嫌だ…こんな自分が嫌だ…」

 

ベットで主治医から何があったか聞いた。

 

もう嫌だ…こんなの嫌なんだ…。

その時大泣きした。大号泣だ。

ゲリラ豪雨が来るぐらい泣いた(謎)

 

 

 

「ヒビさん、3月7日退院しよっか」

 

そこにいた人全員が固まった。

これこそ、ザ・ワールドか…(?)

 

「えっ…な、なんで…?そりゃ嬉しいけど、

こんな状態で出れて…大丈夫かなって…」

 

「今のヒビさんにこの状況、この環境が

あってないと思うんだよ。」

 

「お母さんの都合がよかった退院しよう」

 

周りの人間が思った。

(本当にこのまま出して大丈夫なのか、と)

 

 

 

 

 

 

「まーすーだーさん!はい!!」

 

「なっなにこれ?」

 

「増田さん3月8日誕生日でしょ!?

イラスト描いたんだよ〜!!」

 

そうなのだ。

実は一週間前からこの絵を描いていた。

看護師さんにラミネートをしてもらった

 

「あ、看護師さん!こんにちわ」

 

「なにそれ?あ!増田さん?お気に入りだね!

そのイラスト書いたらラミネートしてあげるよ!」

 

「えぇ〜〜〜〜!!????!!!?

ほんとっですかーーーー??!!!?!

や"っ"た"〜〜〜!!!!!」

 

 

「ってことがあったんだよ!!」

 

「えっ…あ、うん…あ、ありがとう…」

 

は!?なんだこいつ!もっと喜べよ!

一週間前から描いてたんだよこっちは!

 

「う、嬉しくない…?」

 

「い、いやぁ…?もうなんていうか…

嬉しいっていうか…こうゆうの初めて貰ったから…照れちゃって…だから…その…へへ」

 

なんだ童貞か。(違う)

 

 

3月5日

「えっへへ〜( ^ω^ )

退院だ〜〜〜!!!!」

 

「おいおい、まだ決まったわけじゃ…」

 

「あ!7日お手紙ください!!」

 

「えっ!?…それは…患者と医者として

ダメじゃないかな……??」

 

「大丈夫大丈夫!バレなきゃ犯罪じゃないんですよォ〜?」

 

「犯罪レベルに手紙ってダメなのかwwww」

 

3月6日

「お母さんがダメだって…

だから外出をしましょう」

 

「はいいぃぃいいいい!!???!!??」

 

まぁ、なんとなく想像はついていた。

 

そりゃ暴れるような娘が帰ってきても

大変だよなぁ……って思うしかなかった。

 

死ぬには狙うは明日だ…。

明日母さんの目を狙って死んでやる…!

 

 

 

3月7日

「仲里さん。はい。」

 

「えっ…?私退院しないよ…?」

 

「せっかく書いたんで」

 

【誕生日のイラストありがとうございました。

退院して外来フォローになったら治療に関わることはできませんが症状がなくなることを切に願っています。

マンガで有名になったらサインください(笑)

PS.イラスト恥ずかしかったけど本当に嬉しかったんですよ!

 

増田晃介                                                          】

 

 

「…」

 

この時私は正直泣きそうになった。

このあと私は死ぬ予定だった。

 

「ま、増田さん…

あの…私、頑張ります!

いっぱい漫画描いて有名になって、

増田さんにサイン渡します!!」

 

「おっ?ほんと?なら生きてね」

 

あっ……

 

サイン渡すってことは…生きるってこと…

 

死ねない…

 

「…もちろん!死なないよ」

 

 

 

 

 

「あ、」

 

『お前なんて死ねばいいんだ』

『すぐそこの車に轢かれて死ぬがいい』

『死ねばいいのになぁ〜』

『早く死ね!!バカ!!』

 

 

あ、これはあかんヤツや…

 

家に帰ってきて聞こえてくるって…

どうゆうことだよ…

 

 

 

「もう本当に死んじゃおうかな」

 

 

その時握っていた手紙を見つめた。

 

増田さん…

 

ダメだ…死ねない…増田さんに渡すんだ…

 

漫画家になって…がんばって…

 

『だからがんばって生きてほしい。

つらいと思うけど…』

 

私はその時増田さんの言葉が頭によぎった。

 

涙がぼろぼろでた。

 

気がついたら窓から体を乗り出して

あと少しで落ちそうになっていた。

 

 

どっと冷や汗をかいた。

 

 

その時我に返った。

 

病院戻ろう…。

 

時間より少し早めに帰った。

 

 

 

「あ、おかえり」

 

 

「増田さん…ただいまです。」

 

 

 

 

この増田さんがいてくれる病院に

安心しきってる私がいた。

 

病院に依存するとかダメなのにね。

 

続きます。