お父さんと私

「お前は可愛いなぁ

本当可愛い。幸せになってくれよ」  

 

 

 

 

私が小さい時に言ってくれた

父の言葉が未だに忘れられないのだ。

 

「ママね、パパとお別れすることにしたの」

 

「家族じゃないってことじゃないよ。

別居ってことだよ。」

 

母親の嘘はすぐ分かった。

 

「パパ…」

 

父親は私のことを無視した。

 

次の日私と母さんは違う家に移った。

 

 

母さんと別れて…それから。

「パパの家に忘れ物したから家入るね」

とLINEし鍵で父の家に入った。

 

女性用下着が干してあった。

 

すぐ父は私の携帯を鳴らした。

 

「父さん…」

 

父親はすぐ彼女を作った。

 

それが発覚した。

 

父さんはその人と付き合うために別れたの?

 

母さんと父さんが別れて

私は友達に言われてるのに。

 

その時私は携帯を床にぶん投げた。

 

怒りがこみ上げてきた。

 

とりあえず父にはLINEで

 

「察したわ」

 

とだけ送った。

 

 

 

そしていつからかその彼女さんと父さんは

同棲をすることになった。

 

私が遊びに行っていい?と誘う時が多かった。

 

忘れられたら、本当の父親じゃない気がした。

 

その時も父親の家には彼女さんがいた。

 

「こんにちわ。ヒビちゃん」

 

すごく憎んでる。

 

「こんにちわわわわ〜!!」

 

笑顔を振りまくしかなくなった。

 

父は私よりこの女をとったんだ。

この女とセックスをしてるんだ。

この女と第2の人生を歩もうとしてるんだ。

 

父親が死んではやくこの三階建ての家が私のモノになればいいなぁって思っていた。(なるかは本当にわからない)

 

そんな関係が3年続いたのだ。

 

父からご飯に誘われた。

 

「なに?話って」

 

「いや、あいつと別れることにしたんだ。」

 

私は時間が止まったような気がした。

 

父は悲しそうに笑った顔でこう言った。

 

「俺はヒビが大事なんだ。

あいつは俺と結婚して子供を産みたかったらしいんだよ。でも俺にはもうヒビという娘がいる。だからごめんってなって別れたんだよ」

 

私は父の言葉に困惑した。

 

「…本当に言ってるの…?」

 

「本当だよ。ごめんな。

今まで。寂しかったよな。」

 

私はゆっくりと手を見つめた。

「そっかぁ…別れちゃったかぁ…」

手のひらに大粒の涙が出た。

 

私は父さんに幸せになって欲しかった。

 

3年続いて彼女さんとはすごく仲良くなっていってた。お年玉くれたり、誕生日プレゼントをくれたり一緒にお菓子を作ったりした。

 

心を開いていたのだ。

 

父さんと彼女さんが別れたのは

私のせいだと言われた感じがした。

 

「私は…父さんに幸せに…幸せになってほしかった…私なんてどうでもよかった…私なんて…知らんぷりしてくれてよかったんだよ…」

 

私は飲食店で思いっきり、静かに、

手のひらに涙を貯めて泣いた。

 

ゆっくり、嗚咽をした。

 

父さん…

私がいなかったら人生変わってただろうね…

彼女さん…

父さんに幸せにしてほしかったよね…

 

ごめんね。

本当に…ごめんなさい……。

 

ゆっくり私は横浜駅から家まで歩いて泣きながら帰ったのであった。

 

 

おわり。